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コラム

インプラントのやり直し(再治療)は可能?

2025/2/5


かつて、歯を失った際の治療法はブリッジや入れ歯が中心でした。しかし、インプラントはブリッジや入れ歯とどう違う?のコラムでも解説したように、近年はインプラント治療も広く普及し、ブリッジや入れ歯と肩を並べるほど身近なものとなっています。

ただ、このようなインプラントの普及に伴って増えてきたのが、インプラント治療後のトラブルのコラムでお伝えした、インプラントの破損やグラつき、脱落などのトラブルです。

トラブルの内容によってはインプラントの除去が必要になることもあります。そこで気になるのが、再治療の可否ではないでしょうか。今回は、インプラントの再治療について、その可能性や注意点などについて解説します。

インプラントの再治療は可能なのか?



インプラント治療を受けた後、万が一トラブルが起こった場合、再治療ができるのかどうかは気になる点でしょう。

結論から言うと、インプラントの再治療は可能です。

ただし、再治療が難しいケースも存在します。次項から詳しく解説していきますが、たとえば、インプラントを支える骨の量が極端に少ないといった状況は、やり直しても長期的な成功が見込めないため、再治療ができない可能性が高くなります。

インプラントの再治療が難しい方

ここでは、インプラントの再治療が難しいと考えられるケースについて解説していきます。

タバコを吸う方



まず、挙げられるのがタバコを吸う方、喫煙者です。

インプラント治療は、チタン製のインプラントと顎の骨がしっかりと結合するオッセオインテグレーションという現象を利用しています。この結合によってインプラントはしっかりと安定し、人工の歯として機能するのです。

オッセオインテグレーションがきちんと機能するためには、インプラントの周囲に新しい骨細胞が作られる必要があり、そのためには十分な血液量が欠かせません。

しかし、タバコを吸うと血管が収縮しますので、血液の流れが悪くなります。喫煙によって血流量が不足すると、インプラントの基本とも言えるオッセオインテグレーションが上手くいかない可能性が高く、再治療しても良い予後を期待するのが難しいのです。

もし、喫煙習慣のある方は、インプラント治療や再治療の前に禁煙に取り組むようにしましょう。

プラークコントロールが不十分な方



次に、注意が必要なのはプラークコントロールが十分にできていない方です。プラークコントロールとは、歯の表面や周囲に付着する細菌の塊であるプラークを取り除くことを指します。

インプラントは人工物で天然歯とは異なりますが、インプラントの周りで起こる炎症であるインプラント周囲炎は、歯周病と同じようにプラークコントロールが不十分だと発症しやすいことがわかっています。

もし、毎日の歯磨きでプラークを上手く取り除けない、あるいは毎日の歯磨きが不十分という場合は、インプラント周囲炎になりやすいので、再治療しても長持ちさせることは難しくなります。



そのため、まずきちんとした歯磨き習慣を身につけ、歯科医院でTBI(Tooth Brushing Instruction)による効果的な歯磨き方法を、歯科医師または歯科衛生士に指導してもらい、プラークコントロールを十分に行ってください。

インプラントの歯磨き方法については、インプラントの歯磨き方法と注意点のコラムで詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある方



歯ぎしりや食いしばりといった噛み合わせの癖がある方も、インプラントの再治療が難しい場合があります。

これらの癖があると、インプラントに過剰な負担がかかります。インプラントは顎の骨と直接結合しているため、過度な力が加わるとその力がインプラント本体にダイレクトに伝わってしまいます。その結果、インプラントが破損したり、緩んだりするリスクが高まるのです。

もし、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、まずその治療を優先させましょう。これらの癖を改善してから、インプラントの再治療を検討するようにしてください。

再手術に適さない全身疾患のある方



初回のインプラント治療後、新たにインプラント手術に適さない全身疾患を発症してしまった場合も再治療が難しくなることがあります。

インプラント治療を避けた方が良い場合についてのコラムで解説しましたが、たとえば、骨粗鬆症の治療に使われるビスフォスフォネート系の薬剤を服用している方、頭部に放射線治療を受けた経験がある方、リウマチや糖尿病のコントロール不良などが当てはまります。

何らかの全身疾患のある方は、再治療の前にまず病状を主治医に確認しましょう。

インプラントの再治療について

ここからは、インプラントの再治療が可能なケースについて解説していきます。再治療を検討するうえで知っておくべきことをまとめましたので、ご参考になさってください。

再治療はどこで受けられるのか?



インプラントの再治療は、原則として最初に治療を受けた歯科医院で受けることをおすすめします。もちろん、他の歯科医院で再治療を受けることも可能ですが、いくつかの注意点があります。

まず、インプラントには様々なメーカーがあり、日本国内だけでも数十社以上が認可されています。他の歯科医院で再治療を受ける場合、必ずしも同じメーカーのインプラントを取り扱っているとは限りません。もし、インプラントのメーカーが異なると部品の互換性がないため、再治療が困難になることがあります。

インプラントオフィス大通では、世界トップシェアを誇るストローマン社のインプラントシステムを使用しています。

また、インプラント再治療後のメンテナンスは、元の歯科医院で受ける方が良いでしょう。再治療が必要になるまでの経過や、過去の治療履歴を把握しているため、より適したメンテナンスが期待できます。

再治療の治療期間



インプラントの再治療に要する期間は、再治療時の状態によって差があります。骨が十分残っている場合は、治療期間は3~6ヶ月くらいで通常のインプラント治療と大差はありません。

インプラント周囲炎などで骨が吸収されて減っている場合は、コラムでもお伝えした骨を増やす骨造成(こつぞうせい)が必要になります。骨造成が必要な場合の治療期間は、6~12ヶ月くらいと長くなります。

再治療の費用



インプラントの再治療を検討する上で、まず気になるのが費用面ではないでしょうか。再治療が可能だとしても、その費用を誰が負担するのか、自己負担の場合、どのくらいの費用がかかるのかなど、不安に感じる点は多いと思います。

インプラントの再治療にかかる費用は、保証の有無とその内容によって異なります。そのため、再治療が必要になった場合は、まず保証があるかどうか、そしてその内容を詳しく確認することが大切です。

保証期間内であれば治療費の一部または全額が免除されることもあります。しかし、保証期間外や保証対象外のケースは、全額自己負担となる可能性もあるので注意が必要です。

保証の内容は、歯科医院やインプラントメーカーによって異なるため、これからインプラント治療を検討している方は、事前に保証内容について詳しく説明を受けておくことを強くおすすめします。

また、インプラントの再治療は、インプラント体の交換だけでなく、周辺組織の治療や新たな人工歯が必要になる場合もあります。その場合は、治療費が当初よりも高額になる可能性も考慮しておきましょう。

大切なインプラントを長持ちさせるために



今回は、インプラントの再治療について解説しました。喫煙習慣やプラークコントロール不良といった、治療後の経過を悪くする要因を持つ方を除けば、インプラントの再治療は、多くの場合は可能です。これらの要因がある方も、改善に努めることで再治療の可能性を高めることができます。

もし、インプラントがぐらついたり、欠けたりといった異変を感じたら、まずは主治医の歯科医師に相談しましょう。インプラント治療が上手くいかなかった場合でも、再治療という選択肢があることを知っておいてください。

インプラント治療を長持ちさせるためには、日々行う歯磨きや、生活習慣の改善、そしてコラムでもお伝えした、歯科医院での定期的なメンテナンスが重要です。

インプラントオフィス大通には、インプラント治療はもちろん、その他の様々な歯科治療にも精通した医療法人社団 千仁会の専門医が在籍しており、治療後の丁寧なメンテナンスもご提供いたします。札幌でインプラント治療に関するお悩みやご質問があれば、お気軽にインプラントオフィス大通へご相談ください。