インプラント周囲炎とその予防法
2024/3/20
インプラントは、一度埋め込んでオッセオインテグレーションにより歯と骨がしっかりと結合すれば、ずっとメンテナンスフリーというわけではありません。実は、一度しっかりと骨にくっついたインプラントが使えなくなってしまうこともあります。
このインプラントが使用できなくなる原因のトップにあるのが、インプラント周囲炎という病気です。今回は、インプラント周囲炎とその予防法についてご紹介します。
インプラント周囲炎とは
インプラント周囲炎は、インプラント版の歯周病のことです。歯周病が歯肉炎から始まり、歯周炎に進んでいくのと同じように、インプラント周囲炎もインプラント周囲粘膜炎から始まって、インプラント周囲炎になります。
歯周病については、当院と同じく医療法人社団 千仁会に所属するポラリス歯科・矯正歯科の「歯肉炎と歯周炎って何が違うの?」のコラムで解説しておりますので、詳しく知りたい方は、併せてご参照ください。
インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎の原因は、インプラントの周囲についたプラーク(歯垢)です。プラークは単なる汚れではなく、細菌の集合体です。
プラーク(歯垢)は白色のカスのように見えますが、これはミクロの細菌が増殖したものなのです。プラークの中に無数にいる細菌が、インプラント周辺の歯肉や骨などの組織を傷つけてしまうことが、インプラント周囲炎の原因です。
歯周病の原因もプラークの中の細菌なので、原因に関してもインプラント周囲炎と歯周病は似ていると言えるでしょう。
インプラント周囲炎の症状
先ほど、インプラント周囲粘膜炎から始まって、インプラント周囲炎になるとお伝えしましたが、インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周囲の歯肉だけに炎症が起こっている状態を指します。
これに対してインプラント周囲炎は、炎症の範囲がインプラントの周囲の歯肉から、インプラントを支える骨などにも拡大してしまった状態です。
インプラント周囲粘膜炎なら歯肉の腫れや出血などで済みますが、インプラント周囲炎になると骨がダメージを受けるので、進行するとインプラントがグラグラと動くようになります。さらに症状が悪化すると、歯周病で歯が抜けるように、インプラントが抜け落ちてしまいます。
歯根膜の有無
自然の歯の根(歯根:しこん)と骨(歯槽骨:しそうこつ)の間には、歯根膜(しこんまく)という靱帯のような薄い組織があり、噛み合わせの力に対するクッションのような働きをし、さらに歯周病の原因菌が骨の中に入るのを防いでいます。
ところが、インプラントはチタンと骨が結合するオッセオインテグレーションを利用しているので、インプラントと骨の間には歯根膜がないのです。
このため、細菌を防御する歯根膜がないインプラントは、骨の中に細菌が侵入しやすく、インプラント周囲炎は歯周病よりも進行しやすいという難点があります。
インプラント周囲炎の予防法
異変に気づいたら、すぐに歯科検診を
お伝えしてきたとおり、インプラント周囲炎はインプラント周囲粘膜炎の次の段階です。言い方を変えると、インプラント周囲粘膜炎の段階で発見できれば、骨にダメージも受けず、インプラント周囲炎に進むのを防げる可能性が広がります。
歯肉の腫れや痛みなどに気づいたら、早めに歯科医院で検診を受けるようにしましょう。また、気づかない程度の症状の場合もあるので、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことをおすすめします。
もちろんインプラントオフィス大通では、インプラントの埋入手術だけでなく、術後の検診や丁寧なメンテナンスも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
プラークコントロール
先ほどインプラント周囲炎の原因はプラーク(歯垢)だとお伝えしましたが、そのため、インプラント周囲炎の予防にはプラークコントロールが重要になります。
プラークコントロールという言葉は、皆さんもテレビCMなどでご存知かと思います。以下で具体的なプラークコントロールについて、詳しくお話ししましょう。
歯磨き状態の確認
上手に歯磨きができていると思っていらっしゃる方でも、やはり完璧に歯を磨けていることはなかなかありません。どうしても歯磨きにはお一人お一人の癖があります。
そこでまずは、磨き残しがないかどうかなど、歯磨き状態をきちんと確認します。専用の染色液を用いると、歯垢が残っている箇所が見えるので、磨き残しの部分もよく分かります。
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
インプラントだけでなく、残っている歯についているプラークを、専用のペーストや歯科の医療機器を使ってきれいにクリーニングします。このように、専用機材を用いて歯科医院で行う歯のプロフェッショナルケアのことを、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)といいます。
また、歯石がついているとプラークがつきやすくなるので、歯石の除去も行います。プラークや歯石は、どれだけ歯磨きしていても付着してくるものなので、歯のクリーニングは定期的に受けることが大切です。
プラークや歯石のクリーニングについては、同じくポラリス歯科・矯正歯科の「歯垢と歯石の違いって?」のコラムで、詳しく解説しておりますので、興味のある方は併せてご参照ください。
ブラッシング指導(TBI)
さすがに毎日歯科医院で歯のクリーニングをしてもらうわけにはいきませんから、ご自身で行うセルフケアとしてのプラークコントロールは、毎日の歯磨きということになります。
インプラントだけでなく、自然の歯の形や大きさ、歯並びが同じ人は一人としていませんので、適した歯磨きの方法や歯ブラシ、歯間ブラシなどは人それぞれ違うものです。
そこで、患者さん一人一人に合った歯磨きの方法や、歯ブラシ・歯間ブラシなどをご紹介させていただいて、日常の歯磨きでプラークコントロールが十分達成できるようにします。これをTBI(Tooth Brushing Instruction)といいます。
インプラント周囲炎の予防もインプラントオフィス大通にお任せください
今回はインプラント周囲炎について解説しました。インプラントは人口の歯であるため、一度埋入すれば、後は何もしなくても大丈夫と考えてしまう方もいらっしゃいます。
しかし今回お伝えしたように、インプラントも自然の歯と同様に、きちんとケアしなくては、傷んで使えなくなってしまうのです。特に自然の歯と異なり、歯根膜がないことにも注意してください。
インプラント周囲炎によって大切なインプラントを失わないために、ご自宅でのセルフケアに加え、歯科医院でのプロフェッショナルケアを定期的に行いましょう。お伝えしたように、インプラントオフィス大通では、術後の定期検診を行い、インプラントの丁寧なメンテナンスも行っております。
もちろんインプラント周囲炎についてだけでなく、インプラントに関する様々なご質問がある方や、詳しく知りたいという方には、インプラント無料相談も随時実施しておりますので、札幌でインプラントをお考えの方は、インプラントオフィス大通にぜひご連絡ください。