インプラントにホワイトニングはできる?
2025/2/4
インプラントは、失ってしまった歯の代わりに用いられる人工の歯です。しっかりと噛めるという点に加え、見た目の自然さ、美しさから注目度が高まっています。
しかし、せっかく綺麗に作ったインプラントも時間が経つにつれて黄ばんでくることがあります。そのため「インプラントもホワイトニングで白くできるの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。
今回は、インプラントとホワイトニングの関係について解説していきます。インプラントにホワイトニングは有効なのか、黄ばんでしまったインプラントにはどう対処すれば良いのかといった疑問にお答えしましょう。
ホワイトニングとは
ホワイトニングとは、歯を削ることなく、薬剤を使って歯を白くする施術のことです。歯を削る必要がないことに加え、方法によっては自宅で手軽に行えるため(ホームホワイトニング)、歯の美しさを求める方の間で人気が高い処置です。
ホワイトニングのメカニズム
ホワイトニングの主役となるのは、ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素という成分です。実は、過酸化水素は意外と身近な存在で、たとえば消毒薬のオキシドールにも含まれています。ただし、オキシドールは濃度が低いため、歯を白くする効果は期待できません。
では、ホワイトニングはどのようにして歯を白くするのでしょうか?それは、過酸化水素が持つ色素分解力にあります。
歯の内部には色素成分が存在しており、これが歯の色をくすませる原因の一つです。
ホワイトニングの施術では、ホワイトニング剤(過酸化水素)を歯に塗布した後、特殊な光を照射したり、温めたりします。これらの刺激によって過酸化水素が化学反応を起こし、活性酸素という物質を生成します。この活性酸素が歯の内部にある色素分子を分解し、白く変化していくのです。
自宅で行うホームホワイトニングの場合は、過酸化尿素という成分が使われます。これは、口腔内で過酸化水素に変化することで、同様のホワイトニング効果を発揮します。
インプラントはホワイトニングで白くなるのか
結論から申し上げると、インプラントの被せ物にホワイトニングは効きません。以下で理由を説明しましょう。
ホワイトニングは人工歯に作用しない
歯には表面を覆うエナメル質と、その内側にある象牙質という層があります。エナメル質は、半透明な性質を持っており、私たちが歯の色として認識しているのは内側の象牙質の色です。
ホワイトニングは、この象牙質の色を漂白することで、歯を白く見せる効果を発揮します。
しかし、ホワイトニングは、あくまで天然歯の象牙質に作用するものです。インプラントのように人工物の表面に汚れが付着している場合は、ホワイトニングの効果は期待できません。
セラミックは変色しにくい素材
インプラントの被せ物には、セラミックという素材がよく使われます。セラミックは色の安定性が高い素材で、ほとんど変色しないと言ってもいいほどです。実際にセラミックの被せ物はインプラントが登場するずっと前から使われていますが、何十年経っても最初の白さを保ち続けます。
では、なぜインプラントの色が変わって見えるのでしょうか?その原因の多くは、食べ物や飲み物に含まれる色素による着色汚れです。コーヒーやカレーなど、色の濃い飲食物を摂取すると、その色素がインプラントの表面に付着してしまいます。
そして、その汚れがなかなか落ちないと、本来の白さが隠れてしまい、結果として変色したように見えるのです。つまり、インプラントの色が変わったように見えたとしても、表面についた汚れが白さを邪魔しているというわけです。
インプラントにはPMTCがおすすめ
PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの頭文字を合わせた言葉です。日本語では、歯科医師や歯科衛生士(プロフェッショナル)が、専用の器械(メカニカル)を使って歯(トゥース)を掃除(クリーニング)する処置と訳されています。
PMTCは、電動歯ブラシのような回転する器械に、専用のブラシと磨き粉をつけて歯の表面をきれいに磨く処置を指し、歯の表面についた着色汚れを除去するのに効果的です。
ホワイトニングは歯そのものを白くする処置ですが、表面の汚れには効果がありません。そのため、一般的な歯の着色汚れもPMTCで綺麗にするのが有効です。
インプラントも同様で、表面の着色汚れはPMTCによって取り除くことができます。汚れが落ちることでインプラント本来の白さが現れ、元の色に戻すことができるのです。
いつまでも白く美しいインプラントを
今回は、インプラントにホワイトニングが効果があるかどうかについて解説しました。インプラントのセラミックは、色の安定性が高く、変色することはまずありません。
お伝えしたように、インプラントの色が変わって見えるのは、表面に付着した着色汚れが原因です。インプラントの色を改善するには歯を白くするホワイトニングではなく、PMTCが効果的です。
当院では、長年にわたるインプラント治療の過程で、多くのインプラントの変色を見てきましたが、ほとんどが着色汚れであり、メンテナンス時にPMTCを行うことで、当初の美しさを取り戻すことができています。
インプラントオフィス大通は、インプラントの手術だけでなく、その後の丁寧なメンテナンスにも注力しています。インプラントの色や状態、治療に関することなど、どんな些細なことでも構いませんので、札幌でインプラントをお考えの際は、ぜひインプラントオフィス大通へご相談ください。