一覧に戻る

コラム

インプラントの噛み合わせはなぜ重要?天然歯との違いと咬合調整が必要な理由

2026/1/23


「せっかくインプラントにするなら、何でも噛めるようになりたい」
「インプラントはよく噛めると聞いたけれどデメリットはないの?」
「インプラント治療後に噛むと違和感があるのはなぜ?」
このような疑問や不安はありませんか?

インプラントは、ブリッジや入れ歯に比べて固定力が強く、自分の歯のように噛めるという優れたメリットのある治療法です。

ただし、前回のバイオインプラントのコラムでも解説したように、インプラントには、天然歯に存在する歯根膜がありません。そのため、噛む際に違和感を感じることがあり、それを解消するための噛み合わせ調整がとても重要になります。

今回は、インプラントと天然歯の構造的な違いから、噛み合わせのバランスが崩れた時に起こるトラブル、そして大切な咬合調整(こうごうちょうせい)について解説します。

インプラントと天然歯の違い

インプラントと天然の歯には、見た目では分からない違いがあります。それが冒頭でも触れた、歯根膜(しこんまく)という組織の有無です。

歯根膜は、歯根(しこん:歯の根の部分)と顎の骨の間にある、0.2~0.3mm程度の薄い組織です。イメージとしては、歯と骨をつなぐ靭帯のようなものと考えてください。

歯根膜の3つの役割



この歯根膜には主に3つの役割があります。


  • 歯を骨にしっかりと固定する

  • 噛んだ感覚を脳に伝える

  • 噛む力を受け止める


一方、インプラントは、これまでも多くのインプラントコラムで解説したとおり、オッセオインテグレーション(チタンと骨の結合現象)により、人工歯根が顎の骨と結合します。そのため歯根膜がありません。

天然歯は歯根膜のおかげで、噛んだとき、クッションのようにわずかに沈み込んで力を分散させますが、インプラントは噛んだときの沈み込みがほとんどなく、力が直接骨に伝わります。

この違いはごくわずかなものですが、長期的には影響が出る可能性があるため、噛み合わせの管理が大切になってくるのです。

インプラントの噛み合わせのバランスが崩れると起こりうる問題



インプラントは大きく分けて、顎の骨に埋め込むフィクスチャー(人工歯根)、それをつなぐアバットメント、目に見える歯の部分である上部構造(人工歯)の3つのパーツで構成されています。

適切な噛み合わせが保たれていれば問題はありませんが、バランスが崩れた状態が続くと、インプラント本体や周囲の組織、噛み合わせている反対側の歯にも影響が出ることがあります。

上部構造の破損



噛み合わせのバランスが悪い状態が続くと、まず上部構造に影響が出やすくなります。審美性に富み、多くの方に選ばれるセラミックの人工歯の場合、欠けたり割れたりすることがあります。

上部構造の緩み



上部構造を固定しているネジ(スクリュー)が緩んだり、接着剤が劣化したりして、人工歯がぐらついてしまうケースもあります。

フィクスチャーの破損



最悪のケースでは、アバットメントの破損やフィクスチャーの破折が起こることもあります。チタン製のフィクスチャーは丈夫ですが、長期間にわたって過度な力がかかり続けると、金属疲労を起こして破損してしまう可能性があります。

周囲の骨のダメージ



インプラント周囲の骨にも注意が必要です。当初はインプラントと骨がしっかり結合していても、過剰な力が長期間かかり続けると、骨が少しずつ吸収されて減っていくことがあります。

噛み合わせている歯の側にも問題が生じる

咬合痛(こうごうつう)



インプラントと噛み合わせている側の天然の歯に対しても、影響が出ることがあります。

噛み合わせの力が強くかかり続けると、天然歯側の歯根膜に負担がかかります。歯根膜に炎症が起きると、噛んだときに痛みを感じたり、歯が浮いたような違和感を覚えたりすることも出てきます。

歯の破折(はせつ)



歯の外側を覆っているエナメル質は、骨よりも硬く、体の中で最も硬い組織です。

ところが、硬い陶器の食器が割れるように、硬い歯であっても、強い噛み合わせの力が加わり続けると割れてしまうことがあります。

詰め物や被せ物の脱離や破損



噛み合わせの力が過剰に加わると、詰め物や被せ物にもダメージが及び、接着力を失ってしまいます。すると、詰め物や被せ物が外れやすくなります。

咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)


咬合性外傷は、噛み合わせたときに強い力が加わることによって起こる、歯の周囲の骨が受けるダメージです。

これが長期にわたって続くと、歯の周囲の骨が徐々に吸収されて減り始め、最終的には歯がぐらついて抜けてしまうようになります。

この咬合性外傷は、インプラントから強い噛み合わせの力がかかり続けることでも起こります。

インプラントを長持ちさせるために大切な噛み合わせ調整



お話ししてきたように、噛み合わせがずれてしまうと、様々な問題が生じることをご理解いただけたかと思います。

インプラントを快適に使い続けるには、定期的に咬合調整(こうごうちょうせい)を行う必要があります。

咬合調整は、普通の歯だけでなく、インプラント、被せ物や詰め物、入れ歯などの噛み合わせの強いところを削ったり、調整したりし、歯並び全体の噛み合わせのバランスを整える処置です。

噛み合わせは時間とともに変わっていく



噛み合わせは、時間の経過とともに少しずつ変化していきます。天然の歯はごくわずかに動いたり、すり減ったりしますが、インプラントは動きません。そのため、インプラント治療を行った当初は適切だった噛み合わせも、時間が経つとバランスが崩れることがあるのです。

咬合調整は、歯根膜がある天然歯と、歯根膜がないインプラントの双方の噛み合わせのバランスが取れるように行うのがポイントになってきます。

インプラントで噛むと痛みや違和感がある場合



インプラント治療後に「噛むと痛い」「何か違和感がある」と感じた場合は、早めに歯科医院を受診してください。

噛み合わせの高さが合っていない場合、その部分に力が集中して痛みが出ることがあります。この場合は噛み合わせの調整で改善することがほとんどです。

また、インプラント周囲に炎症が起きるインプラント周囲炎の場合も、噛んだときに痛みや違和感を感じることがあります。インプラント周囲炎は、インプラント版の歯周病といえるもので、早期発見・早期治療が大切です。

インプラントを大切に使い続けるために定期的な噛み合わせチェックを



インプラントは、入れ歯やブリッジとは異なり、骨と直接結合することでしっかり噛めるのが利点ですが、クッション役の歯根膜がないため、噛む力がダイレクトに伝わってしまうという難点もあります。

そのため、噛み合わせの調整が不十分だと、インプラント本体の破損だけでなく、対合する天然歯の破折や骨の吸収など、お口全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

「よく噛めるから大丈夫」と過信せず、変化する口内環境に合わせて定期的な噛み合わせの調整(咬合調整)を受けることが、インプラントを長持ちさせる秘訣です。

インプラントオフィス大通では、インプラント治療だけでなく、しっかりとしたメンテナンスもご提供いたします。丁寧な検査に基づき、天然歯とインプラントの両方を考慮した咬合調整も行いますので、インプラントの噛み合わせが気になる方も、札幌のインプラントオフィス大通へぜひご相談ください。