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コラム

切らない縫わないインプラント治療、フラップレスインプラントとは?

2025/1/7


インプラント治療は、歯肉の内側にある顎の骨にインプラント体と呼ばれる人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する処置のことです。これまでもインプラントコラムで取り上げてきたとおり、まるで自分の歯のようにしっかり噛める、見た目が良いといったメリットがあります。

しかし、その反面、インプラントを埋め込むためには歯肉を切開する必要があり、外科手術への不安や抵抗感から治療をためらってしまう方も少なくありません。

そのような方に知っていただきたいのがフラップレスインプラントです。今回は、フラップレスインプラントがどのような治療なのか、お話ししましょう。

フラップレスインプラントとは?



フラップレスインプラントという言葉は、初めて耳にする方も多いのではないでしょうか。フラップとは、手術の際に歯肉を切開し、めくり上げた部分を指す用語です。そして「レス」は、「無い」ことを意味します。

つまり、フラップレスインプラントとは、歯肉を大きく切開せずにインプラントを埋入する治療法です。

フラップレスインプラント治療の流れ

それでは、フラップレスインプラントの治療の流れを紹介します。

①術前検査



はじめに、お口の全体の状態を確認します。歯が残っている場合は歯の状態、顎の骨の状態など、レントゲンやCT撮影を行って詳しく調べ、インプラントを埋め込む位置・方向・深さなどを決めます。

②サージカルガイドの製作



インプラントを埋め込むためには、まず顎の骨にドリルで穴を開ける必要があります。この時、フリーハンドで穴を開けると位置や角度、深さがズレてしまうリスクがあります。そこで用いられるのが、コラムでもご紹介したサージカルガイドです。

詳しくはインプラント治療で使うサージカルガイドとは?のコラムで解説していますが、サージカルガイドとは、ドリルを当てる向きを誘導するためのマウスピースのことです。あらかじめ理想的な位置、角度、深さで穴を開けるための「ガイド」が設定されています。

フラップレスインプラントは、歯肉を切開しないので、インプラントを埋め込む予定の部位を目視で確認することができません。そのため、フラップレスインプラントでは、決められたインプラントの位置からズレることがないように、サージカルガイドが必要になるのです。

③局所麻酔

インプラント予定部位に局所麻酔の注射をします。麻酔が効いていれば、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。

④インプラントを埋入する穴を開ける



『歯肉パンチ』と呼ばれる器具を使って、歯肉にインプラントを埋め込むための穴を開けます。ハンコを押すような感覚で、歯肉に当てると正確なサイズの穴が開きます。

⑤骨に穴を開ける



次に『オステオプッシャー』という器具を使って、顎の骨にインプラントを埋め込むための穴を形成します。

この段階でサージカルガイドを用いて、計画どおりの位置と深さに穴を開けていきます。

⑥インプラントを埋め込む



インプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋入します。

⑦仮歯を入れる

症例によってはインプラントを埋め込んだ後に仮歯を装着します。

⑧養生

オッセオインテグレーションにより、インプラントと骨が結合するまで、2~3ヶ月ほど待ちます。

⑨人工歯の取り付け



インプラントと骨が結合したら、上部構造と呼ばれる人工歯を取り付けて終了になります。

フラップレスインプラントのメリット

フラップレスインプラントには多くのメリットがあります。

身体的負担が少ない



フラップレスインプラントの最大のメリットは、歯肉を大きく切開せずにインプラントを埋入できることです。そのため、従来のインプラントと比べて、侵襲性(肉体へのダメージ)の少ない治療が行えます。

メスを入れるということに抵抗を感じる方も多いと思いますが、フラップレスインプラントであれば、その不安も軽減されるでしょう。また、切開しない分、術後出血も起こりにくくなります。

治療時間が短い



従来のインプラント治療は、歯肉を切開して剥離し、インプラントを埋入、その後に縫合するというステップが必要でした。一方、フラップレスインプラントでは、これらのステップが省略できるため、手術時間を大幅に短縮できる可能性があります。

抜糸が必要ない



歯肉を切開しないため、当然ながら縫合の必要もありません。つまり、抜糸のために通院する手間が省けるのです。

一般的なインプラント治療の場合、抜歯までのしばらくの間、糸が残っているので糸の不快感がありますが、フラップレスインプラントならそれもありません。

歯肉退縮(しにくたいしゅく)が起こりにくい

歯肉を切開して縫合すると、傷跡が治る過程で、歯肉が元の位置よりも下がってしまう歯肉退縮(しにくたいしゅく)が起こることがあります。

フラップレスインプラントなら切開も縫合もないので、歯肉が下がることもほとんどなく、インプラントの仕上がりにも影響がありません。

手術した日に仮歯が入れられる



一般的なインプラント治療では、インプラントを埋め込んだ後、骨と結合するまでの数ヶ月間は仮歯を入れずに待つことが多くなります。

しかし、フラップレスインプラントは、顎の骨がしっかり残っている場合に適応される治療法であり、十分な骨があるということは、仮歯を入れてもインプラントは十分耐えてくれるということになります。そのため、条件が揃えば、手術当日に仮歯を入れられる可能性が高くなります。

フラップレスインプラントのデメリット

フラップレスインプラントには多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

骨の状態を直接確認できない



一般的なインプラント治療では、歯肉を切開して骨を直視しますので、顎の骨の状態を、直接目で確認しながら手術を進められます。

しかし、冒頭でもお話ししたとおり、フラップレスインプラントは骨の状態を目視できないので、術前の画像診断で推測して処置を進めることになります。

どれだけ事前に精密な検査を行っても、実際に手術を進めていく中で、想定外の状況に直面する可能性もゼロではありません。このため、当初の予定を変更し、歯肉を切開する一般的なインプラント治療に変更することもあります。

適応できる症例が限られる



先ほど少し触れましたが、フラップレスインプラントは、顎の骨が十分に残っていることを大前提とします。

もし、骨が少ない場合は、コラムでもお伝えした骨造成という処置が必要になりますが、これは歯肉を切開して行うため、フラップレスインプラントでは対応できません。

そのため、例えば歯周病で歯がグラグラになってから抜歯したというようなケースでは、フラップレスインプラントによる治療は難しくなります。

治療費が高額になる



実は、歯肉を切開する一般的なインプラント治療の方が難易度は低いのです。フラップレスインプラントは、一般的なインプラント治療より難しいことによる技術料や、サージカルガイドの製作費などにより、治療費が多くかかるようになります。

フラップレスインプラントのご相談もインプラントオフィス大通へ



フラップレスインプラントは、歯肉に小さな穴を開けてインプラントを埋め込む方法です。お伝えしたように、歯茎を切らないため、傷口が小さく、手術時間も短縮できるのが大きなメリットと言えるでしょう。

インプラントオフィス大通では、治療の精度を高めるために、サージカルガイド(ガイドサージェリー)を使用し、治療経験が豊富な医療法人社団 千仁会の専門医が、患者さんの負担を極力軽減するインプラント治療をご提供いたします。

札幌でフラップレスインプラントにご興味のある方、詳しい説明をご希望の方も、お気軽にインプラントオフィス大通にご相談ください。