インプラント治療中の仮歯の役割って?
2024/6/13
インプラントの治療期間は、通常で数ヶ月、前回のコラムでお伝えした骨造成を行った場合は1年近くになることもあり、一般的な歯科治療よりも時間がかかります。
インプラント治療の流れでもご説明していますが、インプラントと顎の骨がオッセオインテグレーションにより、完全に結合するのに2~3ヶ月は必要であり、その後に上部構造(人工歯)を製作し、取りつけるというフローになります。
ただ、インプラント埋入後、手術箇所に歯がない状態になるのは良くありません。そこで、そこには仮歯(かりば)を入れておき、インプラントがきちんと機能するか、嚙み合わせに問題がないかなどのチェックを行います。
今回はそんなインプラント治療中につける仮歯について、詳しくお話ししていきます。
インプラント治療で仮歯が必要な理由
患者さんの中には、早く治療を進めたいと望まれる方も多いと思いますが、仮歯が必要になるのには、ちゃんとした理由があります。
見た目を改善する
まず最初に、見た目(審美面)の改善が挙げられます。特に前歯においては仮歯を装着することが多くなります。
これは想像しやすいと思いますが、前歯にインプラント治療を行った場合、しばらく前歯がない状態になってしまっては、患者さんとしても日常生活に支障が出ます。仮歯を入れれば、このような審美面での不都合を解消できるわけですね。
インプラント体を埋入する手術を行なって、すぐに仮歯をつけることもありますし、仮歯をつけない場合には入れ歯を一時的に入れることもあります。
歯の位置が変わらないようにする
歯はどこか一箇所失うと、隣の歯や向かいの歯が、なくなった部位に傾斜したり、移動したりする性質があります。
そのため、歯を失った箇所をそのままにしてしまうと、本来歯があった位置から移動してしまいます。仮歯を入れれば、このような歯の移動を防ぐことができます。
歯は数日では大きく動きませんが、数ヶ月経過すると、歯並びが変わってしまうほど移動することもありますので、仮歯をつける必要があります。
インプラント体への刺激を軽減する
冒頭でも触れたとおり、オッセオインテグレーションには時間がかかるため、手術によってインプラントを埋入しても、インプラントと骨はすぐに結合できません。
インプラントと骨がしっかりと結合する前に刺激が加わり、細菌感染などが起こると、インプラント体が外れてしまうリスクが生じます。そこで、インプラント体への刺激を避ける目的で仮歯をすることがあります。
上部構造や歯茎の形を確認する
インプラントは最終的には上部構造という人工の歯を装着します。この上部構造をより正確な形状にするために仮歯を使用します。
最後に装着する上部構造は、大きな修正ができないこともありますが、事前に仮歯を使用していれば、形状の調整を仮歯の段階で行うことができるので、患者さんに最適な上部構造を作ることが可能になるわけです。
時にはプロビジョナルレストレーションという、完成後の上部構造を踏襲した精密な仮歯でテストすることもあります。さらに時間はかかってしまいますが、その分、完成度も向上しますので、仕上がりの完璧さを求める場合には、プロビジョナルストレーションを用いるのも有効な手段と言えるでしょう。
また、仮歯を入れると、インプラント周辺の歯茎は、仮歯に合った形態に少しづつ変わっていきます。そこで何度か仮歯を修正し、周囲の歯茎とも調和が取れることを確認した後、上部構造を製作して装着すると、より自然で違和感のない仕上がり得られるというメリットもあります。
仮歯を使用している間の注意点
では、そんな大切な役割を担う仮歯をつけている最中は、どんなことに注意すれば良いのでしょうか?以下で具体的に挙げていきましょう。
硬い食べ物、粘着性のある食べ物は避ける
せんべいやナッツなどの硬いものや、餅やガム、キャラメルなどの粘着性のあるものは、仮歯が破損してしまったり、外れてしまう原因になりやすい食品です。
仮歯の期間中は、それらを避けるか、仮歯の部位でないところで噛むようにしましょう。
仮歯の異常時に放置しない
もし仮歯が破損したり、外れてしまった時は、決して放置しないでください。また、仮歯を入れた時と比べて違和感を感じる場合も、早めに歯科医師に診てもらうようにしましょう。
仮歯はあくまでも「仮の歯」ですから、何らかの異常が生じた際は、放っておくことはせず、すぐに歯科医院にご相談ください。
歯磨きを注意深く行う
歯磨きは仮歯であっても行うことを忘れないでください。処置している箇所を触るのが怖いという患者さんもいらっしゃいますが、汚れは仮歯にも付着します。
きちんと汚れを落とさなければ、歯茎が炎症を起こすようになります。炎症がひどくなると、痛みも伴い、形状も変わってしまいますので、他の歯と同様に、注意して丁寧に歯磨きするようにしましょう。
治療の中断はしない
仮歯で違和感がない場合、稀にそのままにしてしまう方がいますが、仮歯はプラスチック材料であることが多いため、最後に装着する上部構造と比べると強度が弱く、汚れも付着しやすいので、ずっと仮歯のままでいるのは避けなくてはなりません。
インプラント治療は中断せず、歯の状態をきちんと確認し、適切な時期に仮歯から上部構造の装着に移行するようにしてください。
仮歯の役割を理解して正しいインプラント治療を
今回は、インプラント治療中に用いる仮歯について解説しました。仮歯の役割や、装着中はどんなことに注意する必要があるか、ご理解いただけたかと思います。
インプラント治療は、一般的な歯科治療よりも時間を要するものですので、早く進めたくなるお気持ちもよく分かるのですが、患者さんに最適なインプラントをご用意するためには、精密で丁寧な工程を経る必要があります。仮歯もその大切な工程の一環です。
インプラントオフィス大通では、インプラント治療の最中も、常に患者さんを真摯にサポートいたします。インプラント治療に関して少しでも気になることがある方は、インプラント無料相談で受け付けておりますので、札幌でインプラントをお考えの際は、インプラントオフィス大通にぜひお問い合わせください。