インプラント治療で使うサージカルガイドとは?
2024/11/22
インプラントコラムでもお伝えしてきたとおり、インプラントは、天然歯のような自然な見た目と機能を取り戻せることから、歯を失った際の選択肢として、多くの方に選ばれるようになってきています。
メリットの多いインプラント治療ですが、インプラント治療後のトラブルってどんなもの?対処法は?のコラムでお話ししたように、トラブルがないわけではありません。
インプラント治療で神経が傷つくことがある?のコラムでお伝えしたとおり、インプラント治療によるトラブルで多いのは、神経損傷と上顎洞(じょうがくどう)へのインプラント迷入でした。これらはいずれも、インプラントを埋入する位置が不適切であることで生じます。つまり、インプラント手術の際、正確な位置に埋入ができればトラブルを防ぐことができるのです。
そこで活躍するのがサージカルガイド(ガイドサージェリー)と呼ばれる装置です。インプラントオフィス大通では、治療の際、必ずサージカルガイド(ガイドサージェリー)を使用しますが、今回はそんなサージカルガイドについて、その目的やメリットなどを詳しく解説します。
サージカルガイドとは
サージカルガイドとは、インプラント手術の際に用いるマウスピース型の装置です。事前に撮影したCT画像をもとに、コンピューター上でシミュレーションを行い、フィクスチャー(インプラント体)の正確な位置、向き、深さなどを反映させます。
サージカルガイドにはインプラントの埋入位置に合わせて穴が開いており、この穴に合わせてフィクスチャーを埋め込むことで、血管や神経を傷つけることなく、シミュレーションに沿った安全性の高い手術が可能になります。
サージカルガイドを使ったインプラント治療の流れ
では、実際にサージカルガイドを使ったインプラント治療の流れを説明していきましょう。
検査
歯科用CTで口腔内を撮影し、インプラントを埋入する予定部位の骨の幅や厚み、血管や神経の位置を把握します。
インプラント手術のシミュレーション
CT画像データをコンピューターに入力し、インプラント手術のシミュレーションを行います。ここでインプラントを埋入する理想的な位置や角度、深さなどを決定します。
サージカルガイドの製作
シミュレーション結果に基づき、サージカルガイド(ガイドサージェリー)を作製します。サージカルガイドの作製後は、実際に患者さんの口腔内に装着して適合を確認します。
インプラント手術
サージカルガイドを合わせ、シミュレーションに沿ったインプラントの埋入手術を行います。
サージカルガイドのメリット
ここからは、サージカルガイドのメリットについて、具体的に列挙していきましょう。
上顎洞への突き抜けを防ぐことができる
上顎の奥歯にフィクスチャーを埋め込む際、上顎洞(じょうがくどう)という骨の空洞を突き抜けないように注意を払う必要があります。なぜなら、フィクスチャーが上顎洞を突き抜けてしまうと、上顎洞炎を引き起こすリスクがあるからです。
サージカルガイドの使用によって、骨の厚みを考慮した適切な位置へのインプラント埋入が可能になることで、この上顎洞への突き抜けを回避できます。
上顎洞のリスクや上顎洞炎については、上顎のインプラントが難しい理由のコラムで解説しておりますので、興味のある方は、併せてご参照ください。
神経の損傷を回避できる
詳しくはインプラント治療で神経が傷つくことがある?のコラムでお伝えしていますが、下顎の奥には下顎管(かがくかん)というトンネル状の空洞があります。
この中には、下歯槽神経(かしそうしんけい)という下唇や顎先の感覚の神経や動脈が通っており、また、下顎骨の内側には、舌神経という舌の感覚をつかさどる神経も存在しています。インプラント埋入の際、これらの神経を傷つけてしまうのは避けなくてはなりません。
サージカルガイドには、シミュレーションに沿ったフィクスチャーの位置や向き、深さが設定されているため、神経損傷などのトラブルも事前に防止できます。
インプラント治療の精度の向上
どれだけ入念にインプラント手術のシミュレーションを行っても、執刀する歯科医師の経験や技術によって、フィクスチャーを埋め入れる位置や向きは変わるものです。そのため、必ずしもシミュレーションどおりになるとは限りません。
サージカルガイドを使えば、歯科医師の経験や勘だけに頼らない正確な埋入手術が可能になります。サージカルガイドによって、手術の安全性が高まるだけでなく、治療の精度も向上し、結果的に長持ちするインプラント治療にもつながります。
インプラントオフィス大通では、インプラントの知識と経験が大変豊富な専門医が治療を担当いたしますので、手術の安全性や治療の精度については、安心してお任せください。
手術時間の短縮
サージカルガイドにはインプラントの埋入位置に合わせた穴が開いていて、この穴に沿わせてドリルを進めることで、理想的な位置へインプラントを埋入できます。
そのため、サージカルガイドを使用すると、効率の良い手術が可能になり、短い時間で手術を完了できます。
身体への負担を抑えられる
サージカルガイドを使うことで、歯茎の切開範囲や、骨を削る範囲を最小限に抑えられます。結果的に、術後の痛みや腫れも少なくなり、回復も早くなります。
サージカルガイドのデメリットは?
メリットの多いサージカルガイドですが、デメリットはないのでしょうか?
サージカルガイドを作製するには、歯科用CTの撮影などの事前診査が必要になります。また、サージカルガイドは一人ひとりの口腔内に合わせて作製する、いわばオーダーメイド型の器具です。
これらの点を勘案すると、強いて挙げるなら、準備期間と費用が発生する点がデメリットと言えるでしょう。
インプラントオフィス大通は、サージカルガイドを使用し、精密なインプラント治療を行います
今回お伝えしたように、サージカルガイドを使用することで、インプラント手術の安全性と治療の精度を大幅に向上させることが可能になります。ガイドに沿ってドリルを進めることで、正確な位置にインプラントを埋入でき、患者さんの身体的な負担も最小限に抑えられます。
費用負担が増えることや、治療期間が長くなるといった点には留意しなくてはなりませんが、サージカルガイドはメリットの方がはるかに大きいことは、お分かりいただけたのではないでしょうか。
インプラントオフィス大通では、サージカルガイド(ガイドサージェリー)を使用し、正確さを重視したインプラント治療を行なっています。札幌でインプラントをご検討の方は、お気軽にインプラントオフィス大通にご相談ください。