一覧に戻る

コラム

麻酔が効きづらくてインプラント治療を迷っている?~麻酔が効きにくい原因と対策とは

2025/11/7


「インプラント治療を受けたいけど、麻酔が効かなかったらどうしよう」
「昔、歯科治療で麻酔が効きにくく、痛い思いをしたから怖さが残っている」
インプラントを検討する際、このような麻酔に関する不安はありませんか?

インプラント手術では、治療する部分の痛みを取り除く局所麻酔を基本とします。それに加え、インプラントオフィス大通では、手術への不安や恐怖心を和らげるために静脈内鎮静法(セデーション、IVS)を併用することも可能です。

ただ、過去に麻酔が効きにくかった経験がある方の場合、そこには何らかの理由がある可能性もあります。

そこで今回は、インプラント手術で用いる麻酔の種類や麻酔が効きにくい原因、そして麻酔をしっかり効かせるための対策をお話しします。

「痛い・怖い」という不安を解消し、安心してインプラント治療に臨むために、まずは麻酔について正しく理解していきましょう。

インプラント手術は痛い?



まず、結論からお伝えすると、適切な麻酔を行えばインプラント手術の最中に痛みを感じることは、ほとんどありません。

皆さんが感じる痛みや恐怖心の正体は、主に次の2つに分けられます。


  1. 手術そのものの痛み

  2. 麻酔注射の痛みや治療中の音・振動に対する恐怖心


現代のインプラント治療では、この2つの不安要素を麻酔法を組み合わせることで取り除いていきます。

インプラント手術で使われる麻酔の種類

冒頭でも触れたように、インプラント手術では、主に局所麻酔静脈内鎮静法(セデーション、IVS)という2つの方法が用いられます。痛みを取り除く局所麻酔を基本とし、不安が強い方にはリラックス効果のある静脈内鎮静法を併用します。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

局所麻酔



局所麻酔は、歯を抜いたり虫歯を削ったりする時に使う、一番よく使われる麻酔です。手術する部分の歯茎に注射をし、痛みを感じる神経の働きを一時的に麻痺させます。

「でも、そもそも麻酔の注射が痛いんじゃ…?」 。そう思う方もいらっしゃるかもしれませんね。歯科医院では、注射の痛みを和らげるために、次のような工夫をしています。

表面麻酔注射をする前に、歯茎に麻酔薬のジェルやスプレーを塗ります。これにより、針が刺さる「チクッ」という感覚がほとんどなくなります。
極細の注射針痛点(痛みを感じる点)を避けるため、細い針を使用します。
電動麻酔器コンピューター制御で、麻酔薬をゆっくりと一定の圧力で注入します。これにより、体内に入る際の圧迫感を軽減できます。

このように、局所麻酔だけでも痛みへの配慮は徹底されています。ただし、意識ははっきりしているため、手術の音や振動、器具が見えることへの緊張感は残ってしまいます。

静脈内鎮静法(セデーション、IVS)



「手術の音や雰囲気がどうしても怖い」 「緊張すると気分が悪くなってしまう」…そんな方にぜひ知ってほしいのが、手術についてのページでも触れている静脈内鎮静法(セデーション、IVS)です。 これは、点滴によって鎮静薬を投与し、ウトウトと浅く眠っているような状態を作る麻酔法です。

全身麻酔のように完全に意識を失うわけではありませんが、「気持ちよくうたた寝をしている間に治療が終わっていた」という感覚に近いと言えるでしょう。ぼーっとした心地良い状態になるため、手術に対する恐怖心がほとんどなくなります。

また、健忘効果があり、治療中のことを覚えていない方がほとんどです。血圧や脈拍が安定し、リラックスした状態で手術を受けられます。

静脈内鎮静法(セデーション、IVS)と、局所麻酔を併用することで、「痛み」と「恐怖」の両方を解消し、心身ともに楽な状態でインプラント手術を受けることが可能になるのです。

静脈内鎮静法(セデーション、IVS)については、インプラント治療で用いる麻酔と鎮静法のコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。

麻酔薬の仕組み



ここまで、局所麻酔や静脈内鎮静法についてお話ししてきましたが、そもそも麻酔はどのようなメカニズムで効果を発揮するのでしょうか?

私たちの体は、歯を削るなどの刺激を電気信号に変え、それが神経の線路を通って脳に伝わることで「痛い」と感じます。

注射によって神経の近くに注入された麻酔薬は、痛みの信号が神経に伝わるのを遮断します。信号が途中で止められるため、脳まで届かず、結果として痛みを感じなくなるのです。

また、歯科用局所麻酔薬には、血管を収縮させる成分が含まれています。これにより、麻酔薬が血流によって早く流れ去るのを防ぎ、麻酔効果を長く持続させます。さらに、治療中の出血を少なくできるのも利点です。

インプラントの麻酔が効きにくい4つの原因と、それぞれの対策

強い炎症を起こしている



歯茎がひどく腫れているなど、炎症が強い部分では、体内が酸性に傾きます。麻酔薬はアルカリ性の環境で効果を発揮するため、酸性の場所では中和されてしまい、効果が弱まってしまうのです。

対策としては、無理に手術を進めず、まずは抗菌薬などで炎症をしっかり抑える治療を優先します。歯茎を健康な状態に戻してから麻酔をすれば、薬はきちんと効いてくれます。

極度の緊張や恐怖心



怖いと感じると、体はストレスに対抗しようとして交感神経が優位になり、痛みに対して敏感になります。また、体内は酸性に傾き、血管は収縮します。

すると、局所麻酔薬の働きが低下するうえに、血管が縮んで薬が届きにくくなり、効果が低下してしまうのです。

このような心理的な要因には、先ほどお伝えした静脈内鎮静法(セデーション、IVS)が効果的です。リラックスすることで体の緊張がほぐれ、麻酔が効きやすい状態を作ることができます。

骨の硬さや厚み



麻酔薬は、骨に浸透して神経に作用します。一般的に、上顎よりも下顎の骨のほうが密度が高く、特に奥歯の周りは骨が分厚いため、麻酔薬が届きにくいといえます。

対策としては、麻酔薬の量を調整したり、神経の根元に直接効かせる伝達麻酔という手技を併用したりして、確実に効果を発揮させます。

伝達麻酔は、歯の神経の元に麻酔薬を作用させる麻酔法です。歯肉への麻酔より広い範囲を、長い時間痺れさせることができます。下顎の親知らずの抜歯のように、骨が厚くて麻酔薬が浸透しにくい場合は、伝達麻酔を使うのも麻酔の効果を高める方法のひとつです。

体質やその日の体調



寝不足や疲労が溜まっていると、痛みを感じやすくなることがあります。また、まれに麻酔薬が分解されやすい体質の方もいます。

そして、こうした体調面だけでなく、他の感覚によって麻酔が効いていないと思ってしまうケースも珍しくありません。

歯科治療で使われる局所麻酔は、あくまで「痛み」を伝える神経の働きを一時的に止めるものです。そのため、器具が歯に触れている感覚や、振動する感じ、治療中の音などは残ります。痛みはないはずなのに、こうした他の感覚がはっきりしているため、本当に効いているのかと不安に感じてしまうことがあるのです。

このような状況を防ぐためにも、事前のカウンセリングがとても大切になります。体調や過去の麻酔経験(効きにくかった経験など)を正直に伝えるようにしましょう。

インプラント治療時の麻酔費用は?



麻酔にかかる費用も気になるところかもしれませんね。通常、局所麻酔はインプラント治療費の中に含まれており、別途費用がかかることはありません。

ただし、静脈内鎮静法は別途で費用が発生します。費用は歯科医院によって異なりますが、1回あたり5万円~10万円程度が目安です。手術中は麻酔科の専門医が立ち会うことが多く、そのための費用も含まれます。

安い金額ではありませんが、「お金には代えられない安心感を得られた」と感じる方が多いのも事実です。費用については、治療前に歯科医院へ確認しておくのが良いでしょう。

不安を安心に変える!手術前にできる3つの準備

安心してインプラント治療に臨むために、ぜひ心がけてほしい3つのポイントをお伝えします。

前日はしっかり休息をとる



手術前日はしっかりと睡眠をとり、リラックスして過ごしましょう。体調が万全なだけで、痛みへの感受性も変わってきます。

また、アルコールは炎症を助長したり、麻酔の効果に影響したりすることがあるので、飲酒は控えてください。

自分に合った麻酔方法を相談して決める



局所麻酔だけで十分な方もいれば、静脈内鎮静法を併用した方が安心して治療を受けられる方もいます。

説明をよく聞き、分からないことは質問して、ご自身が「これなら大丈夫」と納得できる麻酔の方法を選ぶようにしましょう。

不安な気持ちは正直に伝える



「麻酔が怖い」「痛いのが本当に苦手で」… このような気持ちは、決して恥ずかしいことでも、わがままなことでもありません。

インプラント治療に不安や迷いがあるならまずは相談からのコラムでお話ししたように、カウンセリングの際に、不安なことは正直に打ち明けるようにしましょう。

そして何よりも、そのような患者さんの不安をきちんと受け止めてくれる歯科医院で治療を受けることが大切です。

インプラント治療に関する「痛い・怖い」はインプラントオフィス大通にご相談を



インプラント手術の際は、局所麻酔に加え、静脈内鎮静法を併用すれば、リラックスした状態で治療を終えることが可能です。

過去に麻酔が効きにくかった経験がある方も、その原因がどこにあるかを理解し、対策を立てることで麻酔効果はしっかり得られます。

インプラントオフィス大通は、医療法人社団 千仁会専門医が在籍し、充実した設備のもと、安心して治療を受けられる環境を整えています。

麻酔を適切に使用し、痛みを可能な限り抑えた治療をご提供いたしますので、ご質問やご不安な点があれば、どうぞお気軽に札幌のインプラントオフィス大通にご相談ください。