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コラム

インプラントは何本までなら入れられる?

2025/5/8


今の入れ歯をインプラントに変えられる?のコラムでもお話ししましたが、総入れ歯や大きな部分入れ歯の使い心地に、いまひとつ満足できない方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合、インプラント治療が代替の選択肢として考えられます。

しかし、総入れ歯をお使いということは、全ての歯が失われている状態です。また、大きな部分入れ歯の場合も、多くの歯を失っている状況と考えられます。

そんな時、「失った歯の代わりにインプラントを入れるとしたら、一体何本まで可能なのだろう?」と疑問に思われるのではないでしょうか。そこで今回は、インプラントを埋め込むの本数について解説します。

インプラントは何本まで入れられるのか?

失った歯をインプラントで補う場合、具体的に何本まで入れられるのか、詳しく見ていきましょう。

理論上の最大本数は28本



永久歯は、親知らず(第三大臼歯)を除くと、上顎14本・下顎14本で、全部で28本あります。

顎の骨さえしっかりしていれば、インプラントの本数に制限はないので、これらを全てインプラントにすることは可能です。したがって、インプラントの最大本数は、あくまでも理論上ですが28本になります。

より現実的なインプラントの最大本数は



上述のように、理論上は最大28本のインプラントを入れられますが、実際に28本すべてを埋め込むケースはほとんどありません。

なぜなら、歯が失われた状態が続くと、顎の骨が少しずつ痩せて小さくなる傾向があり、このように顎の骨が痩せると、インプラントを埋め込めるスペースが限られてきてしまうからです。

インプラント自体にも、機能を維持するためにはある程度の太さが必要です。さらに、インプラントを埋め込む位置や間隔にもルールがあるのコラムでもお伝えしたとおり、インプラント同士の間には、少なくとも3mm程度の間隔を設けなければなりません。

これらの条件を考慮すると、28本全てを埋め込むのは難しい場合が多いでしょう。20~24本程度が現実的なインプラントの最大本数といえそうです。

実際にインプラントを最大本数まで埋めることは稀

上では、インプラントを埋入する現実的な本数は20~24本とお伝えしましたが、実際のところ、全ての歯をインプラントで置き換えるのはとても困難です。そのため、最大本数のインプラントを埋入することはほとんどありません。

以下で理由をお話ししましょう。

身体的負担が大きい



20~24本もインプラントを埋め込むとなると、手術範囲はお口全体に及ぶため、大変広くなりますし、手術時間もとても長くなります。

また、骨の厚みは均等ではありませんから、薄いところもあるでしょう。そのような場合は、骨の厚みや幅を増やす骨増生も行わなければなりません。

手術後は、お口全体が炎症を起こし、痛みも腫れもかなり強くなる恐れもあります。

このように、全ての歯をインプラントで置き換えようとすると、手術時に身体が受ける負担がとても大きいことがお分かりいただけると思います。

治療費が高い



クリニックによって多少の差はあるものの、保険診療ではないインプラントの費用は1本あたり30~40万円しますから、20~24本も入れるとそれだけで数百万円の金額になってしまいます。

さらに、お伝えしたとおり、骨の厚みや幅が足りない場合には骨増生も必要なので、その分の治療費も加わります。

また、長時間に及ぶ手術を考え、リラックスして手術を受けられるよう、インプラント治療で用いる麻酔と鎮静法のコラムでお伝えしたセデーション(静脈鎮静法)を併用すれば、その費用も別途かかってしまいます。

このように、全ての歯をインプラントで治そうとするのは、治療費がかなり高額になってしまうので、費用面からも困難になります。

歯を全て失った方向けのインプラント治療法

では、歯を全て失った方へのインプラント治療は無理なのかというと、そのようなことはありません。

少ない本数のインプラントを活用して、お口全体の噛む機能を取り戻す方法があります。代表的な選択肢として、以下の2つが挙げられます。

オールオン4/オールオン6



インプラントオフィス大通でも行っているオールオン4(All-on-4)は、片顎に4本のインプラントをバランス良く埋め込み、その上に12本分の歯が一体となった人工歯(ブリッジタイプの上部構造)を固定する治療法です。

4本のインプラントで12本の歯を支えるブリッジとイメージすると分かりやすいかもしれません。

オールオン4(All-on-4)とその8つの利点のコラムで詳しく解説していますが、全ての歯を1本ずつインプラントにする方法と比較して、埋め込むインプラントの本数が少ないため、手術に伴う身体的な負担や、治療費を抑えられる点がメリットといえるでしょう。



もちろん、固定されているため、しっかりと噛むことができ、食事中に外れてしまうといった心配もほとんどありません。

オールオン6(All-on-6)は、埋め込むインプラントの本数を6本に増やした方法で、オールオン4よりもさらに安定性が高まり、より強い力で噛めるようになります。

インプラント義歯(インプラントオーバーデンチャー)



インプラント義歯インプラントオーバーデンチャーとも呼ばれます)は、2~4本ほどのインプラントを埋め込み、それを支えとして利用する総入れ歯のことです。

詳しくはインプラントオーバーデンチャーのコラムでお伝えしましたが、入れ歯側にはインプラントに固定するための装置が取り付けられており、通常の総入れ歯と比べてずれにくく、安定性が向上します。また、入れ歯自体を小さく設計できるケースもあります。

ご自身で取り外しができるため、オールオン4などと比較して、日々のお手入れがしやすい点や、治療費を抑えやすい点がメリットとして挙げられるでしょう。

一方で、食べたものが裏側に入ってしまったり、食事のたびに外して洗わなければならないなどの難点もあります。

少ない本数のインプラントでも、歯の機能は回復できます



考えられるインプラントの最大本数は20本近くになりますが、患者さんの身体的負担も大きいですし、治療費もあまりに高額になってしまうため、現実的ではありません。

お話ししたように、歯を全て失った方向けには、全ての歯をインプラントで治すのではなく、オールオン4やオールオン6、インプラント義歯(インプラントオーバーデンチャー)といった方法が候補になります。

全ての歯を失った方や総入れ歯の方、もしくは入れ歯の使い勝手に満足がいかない方にとって、これらのインプラント治療は大変有効な選択肢となります。

インプラントオフィス大通には、臨床経験30年以上の歯科医師が在籍し、様々な症状の患者さんに対して多くのインプラント治療を行ってきた実績があります。歯を失ってお悩みの方や、現在の入れ歯にご不満がある方も、札幌駅すぐそばのインプラントオフィス大通に、お気軽にお問い合わせください。