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コラム

インプラントと言っても種類は様々?構造・形状・上部構造の違いを解説

2024/8/17


今までのインプラントコラムでも解説してきたとおり、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯をつけるのがインプラント治療です。インプラントはブリッジや入れ歯とは異なり、見た目も自然で、自分の歯のように噛めるのが何よりのメリットです。

ただ、インプラントと一言で言っても、その種類は非常に豊富で、欠損部位や骨の状態、費用などに応じて適切なものが異なります。

そこで今回は、インプラントの種類を構造・形状・上部構造に分けて、それぞれの特徴についてご紹介します。

インプラントの構造上の種類



インプラントは人工歯根にあたるインプラント体(フィクスチャー)、人工歯にあたる上部構造、これらをつなげるアバットメントという3つのパーツで構成されています。

このパーツの構成の違いにより、1ピースタイプと2ピースタイプに分類されます。

1ピースタイプ



1ピースタイプとは、インプラント体とアバットメントが一体化している構造です。

シンプルな設計が特徴で、パーツの点数が少なく、比較的費用を抑えながら治療を進められます。また、アバットメントがないので、該当箇所のネジの緩みもなく、治療期間の短縮にもつながるというメリットがあります。

ただし、一体化した構造であるため、上部構造(人工歯)の自由度に乏しく、トラブルが起きた場合は、インプラントごと撤去しなくてはならない可能性もあります。これは特にご高齢の方には大きな負担になるでしょう。

加えて、1ピースタイプのインプラントを使用するには顎の骨に厚みが必要になるため、現在の主流は汎用性の高い2ピースタイプになっています。

2ピースタイプ



インプラント治療で一般的に用いられているのが、インプラント体とアバットメントが別々の構造になっている2ピースタイプです。

必要なパーツの点数が増える分、1ピースタイプより費用がかかったり、治療期間が長くなる場合があります。また、アバットメントがあるため、該当箇所のネジが緩むリスクも考えておかなくてはなりません。

インプラント治療の自由度、安全性を踏まえ、現在は2ピースタイプが主流に

ただし、アバットメントにも様々な種類があり、それに合わせて上部構造も選べるため、インプラント治療における選択の幅が広がるという大きなメリットがあります。

そして、インプラントに衝撃が加わった時は、アバットメント部分が折れて、インプラント体や顎の骨へのダメージを回避できる構造になっているのも特長です。何かあった時の安心感は、2ピースタイプの方が上と言えるでしょう。

さらに1ピースタイプほど顎の骨の厚みは求められないので、2ピースタイプのインプラントは幅広い症例に適用が可能であり、現在のインプラント治療では、2ピースタイプが主流になりました。

インプラント体(人工歯根)の種類

インプラントの歯根部分と聞くと、ネジの形をしたものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、インプラント体(フィクスチャー)にはいくつかの形状があり、それぞれに特徴があります。代表的なものを以下に紹介します。

スクリュータイプ



現在、インプラント治療で主流になっているのがこのスクリュータイプです。上述のとおり、皆さんが一番に思い浮かべるのがこの形でしょう。

ネジのような形状をしたインプラント体を、木ネジを木材にねじ込むように、ゆっくりと回転させながら顎の骨に埋め込んでいきます。

スクリュータイプの最大のメリットは、埋め込んだ直後からしっかりと固定され、安定しやすいことです。このことを専門用語では初期固定といいます。初期固定が良好であれば、インプラント体と周囲の骨がしっかりと結合(オッセオインテグレーション)しやすくなります。

シリンダータイプ



シリンダータイプは円筒状のインプラント体です。スクリュータイプのようにネジ部(ギザギザの部分)がなく、顎の骨に打ち込むようにして埋め込みます。そのため、インプラントを埋め込む作業がスクリュータイプより容易になります。

写真のように、シリンダータイプのインプラント体には、側面に穴が開いており、その部分に骨が入り込むことで安定するようになっています。ただし、スクリュータイプと比べると骨の接触面積が少ないため初期固定が弱く、安定性に劣るのが難点です。そのため、現在では使用頻度が低くなっています。

ブレードタイプ



ブレードタイプは平たい板状のインプラントで、横から見るとフォークのような形をしています。厚みが薄いので、骨の幅が狭い箇所にも埋め込みやすいのが特徴です。

しかし、ブレードタイプの構造上、インプラントの根元あたりに力が集中するため、折れるリスクが高いという問題がありました。このため、現在では安定性の高いスクリュータイプが主流となり、ブレードタイプは現在では使用されていません。

上部構造の種類

続いて、上部構造の種類について説明しましょう。インプラントの上部構造は、次のようなタイプに分けられます。

クラウンタイプ



クラウンタイプは、インプラント1本につき、上部構造を1つ装着する基本的なタイプです。インプラント1本で1つの上部構造を支える構造のため、インプラント体にかかる負担を抑えることができます。

また、天然歯に近い見た目を再現できるため、審美性に優れており、歯ブラシやデンタルフロスが使いやすく、清掃性が良いのもメリットです。

ただし、失った歯の本数が増えると、その分インプラントの本数も必要となるため、本数が多い場合は、治療費が高額になる可能性があります。

ブリッジタイプ



ブリッジタイプは複数本の歯を失った場合、インプラントを土台として、連結した人工歯を装着する方法です。

例えば、3本連続で歯を失った場合でも、3本のインプラントを埋め込む必要はありません。両端にインプラントを埋め込み、その間を人工歯で連結するブリッジにすることで、少ない本数のインプラントで噛み合わせや見た目を回復できます。インプラントの本数が少なくて済むため、治療費を抑えられるのもメリットです。

ただし、人工歯が連結されているため、歯ブラシが届きにくい箇所が生じやすく、清掃性に劣るデメリットがあります。インプラントを清潔に保てないと、コラムでもお伝えした、インプラント周囲の歯ぐきに炎症が起こるインプラント周囲炎のリスクが高まるため、注意が必要です。

オールオンフォー



オールオンフォーとは、4~6本のインプラントを埋め込み、その上に12~14本の連結した人工歯を装着し、上顎または下顎全体の見た目と噛み合わせを回復させる方法です。スクリューやセメントを用いて固定するため、取り外しはできません。

多くの歯がなくなってしまった場合、欠損した歯の本数分のインプラントを入れるのは非常に大変です。オールオンフォーは、少ない本数のインプラントで全ての歯を補えるため、治療費を大幅に抑えられるのがメリットです。

インプラントオーバーデンチャー



インプラントオーバーデンチャーとは、インプラントと入れ歯を組み合わせた方法です。インプラント義歯とも呼ばれています。

顎の骨に2~4本のインプラントを埋め込み、それを支えにして取り外しができる入れ歯を装着します。通常の入れ歯と比較すると、しっかりと噛めるうえに安定感にも優れているのがメリットです。

ただ、あくまでも入れ歯であるため、通常の入れ歯と同じく食べ物が内側に入り込むことがあり、毎食後入れ歯を外して洗う必要があります。

また、入れ歯部分は通常の入れ歯と同じ素材を使用することが多く、長期間使用すると壊れてしまうこともあるため、定期的に調整や作り直しが必要になる点も考慮しなければなりません。

患者さん一人一人に最適なインプラントを



今回お伝えしたように、一口にインプラントといっても構造・形状・上部構造と、様々な分類があり、それぞれに特徴があります。

インプラントは、お口の状態や希望に合わせて適切なタイプを選ぶことが大切です。インプラント治療をお考えの際は、今回ご紹介した内容を参考に、まずは歯科医院でじっくり相談することをおすすめします。

インプラントオフィス大通では、医療法人社団 千仁会の専門医が在籍し、最新の設備による治療前の精密な検査と診断はもちろんのこと、治療後のメンテナンスに至るまで責任を持って対応いたします。

綿密なカウンセリングを通じ、患者さん一人一人に最適なインプラントをご提案しますので、ご自身にぴったりなインプラントがほしいとお考えの方、どのようなインプラント治療が自分に合っているか迷っている方は、どうぞお気軽にインプラントオフィス大通にご相談ください。