インプラントは医療費控除の対象になる?計算方法や申請手順を解説
2026/2/26
「インプラント治療って医療費控除の対象になるの?」
「還付金は実際にいくら戻ってくるの?自分でも計算できる?」
「やり方が分からないけれど、手続きは大変?」
確定申告の今の時期、このような疑問はありませんか?
インプラント治療は基本的に自費診療ですが、費用のページでも解説しているとおり、医療費控除の対象になります。
所定の書類を揃えて申請するだけで、すでに納めた所得税の一部が還付金として戻ってくるほか、翌年の住民税も減額されるというメリットがあります。
「確定申告は計算や手続きが複雑そう」というイメージを持たれがちですが、国税庁のホームページを利用すれば、比較的スムーズに申告書を作成することができます。
そこで今回は、インプラント治療における医療費控除の計算方法から、年収別の還付金シミュレーション、4ステップの申請手順まで解説します。
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超えた金額を所得から差し引ける制度です。所得が減ることになるため、冒頭で触れたように、すでに納めた所得税の一部が還付金として戻ってくるほか、翌年の住民税も軽減されます。
また、こちらもお伝えしたとおり、インプラントのような歯科の自費治療も医療費控除の対象です。失った歯の機能を回復し、食事や発音を改善するという医療目的で行われるため、控除対象として認められています。
同様に、虫歯や事故によって傷めた歯を回復するためのセラミック治療や、噛み合わせ改善のための矯正治療も医療費控除の対象です。ただし、見た目を良くするためだけの「審美目的の治療」は対象外となります。
医療費控除について知っておくべきポイント
まず、医療費控除を活用するために、押さえておきたいポイントを整理しておきましょう。
確定申告しなければ還付されない
条件を満たしていても、自分で確定申告を行わなければ1円も戻ってきません。会社員の方で年末調整を受けている方も、医療費控除については別途確定申告が必要です。
家族の医療費を合算できる
生計を一にする家族の医療費は合算して申請できます。たとえば、配偶者の歯科治療費、子どもの矯正費用、親の入院費用などをまとめて申請することも可能です。
所得が高い人が申請する方が有利
医療費控除による還付金は、医療費控除額に所得税率を掛けて計算されます。所得税率は、所得が多いほど高くなるため、家族の中で最も所得が多い人が申請した方が、還付金額は大きくなります。
通院のための交通費も対象になる
医療機関への通院にかかった交通費も医療費控除の対象です。ただし、電車やバスなどの公共交通機関に限られ、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
もし領収書がなくても、日付・区間・金額をメモしておけば申請できます。
デンタルローンやクレジットカード払いも対象
インプラント治療をローンやクレジットカードで支払った場合も、医療費控除の対象となります。
この場合、ローン契約が成立した年(金融機関が医療機関に立て替え払いをした年)の医療費として申告します。ただし、ローンの利息部分は控除対象外です。
保険金や給付金は差し引く必要がある
生命保険の入院給付金、健康保険の高額療養費、出産育児一時金などを受け取った場合は、その金額を医療費から差し引く必要があります。
5年間さかのぼって申請できる
確定申告の時期を過ぎてしまっても、諦める必要はありません。医療費控除の還付申告は、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年間申請可能です。
たとえば、2022年に支払った医療費は、2027年12月31日まで申請できます。
領収書は5年間保管が必要
医療費控除の申請には領収書の添付は不要になりましたが、税務署から提示を求められた場合に備えて、5年間は領収書を保管しておく必要があります。
還付金はいくら戻る?医療費控除の計算方法
では、医療費控除でどのくらい還付されるのでしょうか?治療費の合計額が10万円以上、最高200万円までが医療費控除の対象となりますが、還付金は所得税率によって変わってきます。
国税庁のホームページにある申告書を使うと、必要な税額や還付金を自動で計算してくれるので簡単に作成することができます。実際のやり方を動画で見ることもできますので、ご参考になさってください。
還付金の計算法
費用のページでもご説明していますが、医療費控除対象額は以下のように計算されます。
年間の総所得金額が200万円以上の方
医療費控除額 = 支払った医療費の合計 − 保険金等で補てんされる金額 − 10万円
年間の総所得金額が200万円未満の方
医療費控除額 = 支払った医療費の合計 − 保険金等で補てんされる金額 − 総所得金額 × 5%
(参考)国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
医療費控除額が分かれば、還付金は以下の式で計算できます。
還付金 = 医療費控除額 × 所得税率
所得税率については、以下の表を参考にしてください。
| 所得 | 税率 |
|---|---|
| 195万円以下 | 5% |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% |
| 4,000万円超 | 45% |
※実際には復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も還付されるため、上記よりやや多くなります。
また、医療費控除を申請すると、翌年度の住民税も軽減されます。住民税の税率は一律10%です。
減額される住民税=医療費控除対象金額✕10%
インプラント治療を受けるといくら戻る?
では、インプラントは実際にどれくらい医療費控除を受けられるのでしょうか。こちらでは、例として具体的な金額を出して解説します。上で記載した計算式に当てはめてみましょう。
ケース1:年収400万円・インプラント1本を入れて50万円かかった場合
前提条件
- インプラントの治療費:50万円(CTや各種検査、上部構造代金等を含む)
- 年収:400万円(課税所得:約270万円と仮定)
- 保険金:なし
- 通院交通費:5,000円
まず、医療費の合計を出します。治療費50万円に交通費5,000円を加えて、50万5,000円です。
次に、医療費控除額を計算します。50万5,000円から、保険金はないため0円を引き、さらに10万円を引くと、40万5,000円です。
課税所得270万円の場合、上の表より所得税率は10%ですから、還付金は40万5,000円に10%を掛けて、4万500円となります。
住民税の減額分は40万5,000円に10%を掛けて、4万500円です。
ケース2:年収700万円・インプラント2本を入れて90万円かかった場合
前提条件
- インプラントの治療費:90万円(CTや各種検査、上部構造代金等を含む)
- 年収:700万円(課税所得:約500万円と仮定)
- 保険金:なし
- 通院交通費:8,000円
医療費の合計は、治療費90万円に交通費8,000円を加えて、90万8,000円です。
医療費控除額は、90万8,000円から10万円を引いて、80万8,000円となります。
課税所得500万円の場合、所得税率は20%です。還付金は80万8,000円に20%を掛けて、16万1,600円となります。
住民税の減額分は80万8,000円に10%を掛けて、8万800円です。
ケース3:年収1000万円・インプラント1本50万円がかかり、保険金が出た場合
前提条件
- インプラントの治療費:50万円(CTや各種検査、上部構造代金等を含む)
- 年収:1,000万円(課税所得:約720万円と仮定)
- 保険金:15万円
- 通院交通費:5,000円
医療費の合計は、治療費50万円に交通費5,000円を加えて、50万5,000円です。
医療費控除額は、50万5,000円から保険金15万円を引き、さらに10万円を引いて、25万5,000円となります。
課税所得720万円の場合、所得税率は23%です。還付金は25万5,000円に23%を掛けて、5万8,650円となります。
住民税の減額分は25万5,000円に10%を掛けて、2万5,500円です。
保険金が出た場合でも、しっかり医療費控除を受けることで、数万円単位の節税が可能です。
確定申告で医療費控除を受ける流れ
「確定申告は難しそう」と感じる方も多いですが、実際にやってみると意外とスムーズに進めることができます。ここでは、初めての方でも迷わないよう、手順を4つのステップに分けて解説します。
①申請書の準備をする
まずは、以下を準備しましょう。
- 医療費控除の明細書:国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
- 確定申告書:国税庁のホームページで作成できます。
- マイナンバーカードなどの身分証明書
- 保険金の補填明細:医療費から補填分を差し引く必要があります。
- 医療費の領収書:自費診療分が記載された領収書が必要です。先述のとおり、5年間は保管しておいてください。
ほかに該当する場合に必要なものとして、源泉徴収票、保険金等の給付金明細、デンタルローンの契約書または明細書、通院交通費のメモ(日付・区間・金額を記録)があります。
また、健康保険組合から届く医療費のお知らせを使うと、明細書の作成が簡単になります。2025年分の医療費のお知らせは、多くの健康保険組合で2026年3月初旬に届く予定です。
e-Tax用のデータは2月中旬から下旬にかけてダウンロード可能になる場合が多いため、各保険組合の案内を確認してください。
②医療費控除の明細書を作成する
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費を集計し、医療費控除の明細書に記入します。記載が必要な項目は、医療を受けた人の氏名、病院・薬局などの名称、支払った医療費、保険金等で補てんされる金額です。
国税庁が提供する医療費集計フォーム(Excel形式)を使えば、入力したデータを確定申告書等作成コーナーに読み込むことができ、手入力しなくてもよくなります。
③確定申告書を作成する
国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで確定申告書が完成します。医療費控除額や還付金額も自動計算されるため、計算ミスの心配がありません。
さらにマイナポータルと連携すれば、給与所得や医療費のデータが自動的に取り込まれるので、手間を減らせます。
④申告書を提出する
医療費控除は確定申告と同時に行うので、確定申告の提出先と同じになります。提出するには以下の3つの方法があります。
- e-Tax:オンライン上で提出可能
- 税務署の窓口に持参する
- 税務署に郵送
マイナンバーカードでマイナポータルと連携している場合は、スマホから簡単に申告できるのでおすすめです。
申告が受理されると、指定した銀行やゆうちょ口座に還付金が振り込まれます。e-Taxで申告した場合は約3週間、郵送や窓口提出の場合は1〜2か月が目安です。住民税の減額は、翌年6月からの住民税に自動的に反映されます。
医療費控除を活用して治療費の負担を軽減しよう
今回お伝えしたとおり、インプラント治療は失った歯を補う医療目的の治療として認められるため、医療費控除の対象となります。正しく申請を行えば、所得税の還付や翌年の住民税の減額によって、高額な治療費の負担を抑えることが可能です。
通院にかかった電車やバスの交通費、デンタルローンやクレジットカードで支払った費用も対象となるため、領収書やメモは忘れずに保管しておきましょう。
確定申告と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、国税庁のシステムやマイナポータルを活用すれば、意外とスムーズに確定申告の手続きが完了します。また、申告を忘れていた場合でも過去5年間にさかのぼって申請できるのは嬉しいポイントです。
インプラントは自由診療のため、決して安い治療ではありませんが、医療費控除という制度を活用すれば実質的な負担額は減らせます。ご自身のケースでいくら戻るのかを事前にシミュレーションし、忘れずに申告を行ってくださいね。
インプラントオフィス大通では、治療に関することだけでなく、費用面についてのご相談にも丁寧にお答えいたしますので、インプラント治療をお考えの際は、札幌のインプラントオフィス大通へお気軽にお問い合わせください。

