すばらしい。
街の交差点の一角のファッションビル。
その8階に、私のお気に入りの蕎麦屋さんがある。
味ももちろんお気に入りである。
店員さんたちのキビキビした動きもお気に入りである。
さらには、蕎麦屋さん特有の醤油を煮詰めた香りが
衣服にあまり付かないところもお気に入りである。
先日の昼、いつものように混んでいた。
店の中央にある大きな席で5~6名が合い席となる。
ややしばらくして、私の向かいに、初老の女性が案内されてきた。
着席するかしないかのうちに、
「おろしそば、ひとつ。」
と注文した。
確かにそう注文した。
その言葉の全体に、その女性の気の強さが滲み出ていた。
間もなく、「おそしそば」が運ばれてきた。
その初老の女性は、運ばれてきた品(しな)を見るや
「私が注文したのは、海老(えび)おろしそばだけど。」
と語気荒く指摘した。
蕎麦を運んできたのは、注文を受けた人とは別の人である。
初老の女性から指摘を受けると、間髪入れずに
「失礼しました。すぐにお取り換えします。」と
さらりと対応した。
「あなたは、おろしそばって、言いましたよ。」
と、のど元まで出た言葉を、私は呑み込んだ。
そこで私が指摘しても何も好転しないのは目に見えていた。
その店員さんの対応は
「(蕎麦屋の)お客さんはすべて正しい。」
という立場に立っているのだろう。
素晴らしい対応であると私は思う。
私が、そのお店を、益々好きになった出来事である。
と同時に、私たちも見習いたい出来事でもある。
















