傘

初詣に出かけるとき雪が降っていたので、母親に
「傘はないか?」
と尋ねた。
「ある。」
とこたえて、やや暫くして、写真の傘を出してきた。
「もしや、」
と思い、
「それは・・・」
と私が言いかけると、すかさず母親は
「そうだよ。」
と答えた。
その傘は、私が大学を卒業して初めて手にした給料で両親にペアでプレゼントしたものだった。
その傘を目にするのは、18年前に購入したときと今回で2回目だ。
親父は、3年前に他界するまでの間に1度だけその傘を使ったらしい。
1度しか使わなかったのに、傘には親父の字で親父の名前と電話番号が書いてあった。
息子からもらった大切な傘を失くしたくなかったのか。
そんな親父の傘も一緒に行った初詣である。
















